紙のタイムカードやめてみた!勤怠管理からはじめるDX

カチョー

おいヒロシ!またタイムカード押し忘れてるだろ!これで今月3回目だぞ。

ヒロシ

あ、やべっ!すいません!きのう直帰だったんで、つい…
後で書いておきます!

カチョー

その「つい」で、こっちの手間がどれだけ増えると思ってるんだ…給料計算のたびに、経理から俺が怒られるんだぞ。

ヒロシ

うう…申し訳ないッス…。でも、スマホで出先からでも「ピッ」てできたら、絶対忘れないんスけどねー。

「勤怠管理」と聞くと、みなさんはどんなイメージを持つでしょうか?多くの中小企業では、紙のタイムカードや手書きの出勤簿が使われているのが現状です。しかし、時代は大きく変わりつつあります。デジタル化の波は、私たちの働き方や経営のあり方にも確実に押し寄せています。この記事では、紙のタイムカードからデジタル勤怠管理への移行がもたらすメリットや、導入のポイント、実際の現場での変化について、実践的な視点からお伝えします。

目次

なぜ今、勤怠管理のデジタル化が必要なのか?

アナログ管理のデメリット

中小企業の経営者や個人事業主の多くは、「今のままでも困っていない」「新しい仕組みは難しそう」と感じているかもしれません。しかし、紙のタイムカードには見えないコストやリスクが潜んでいます。

・集計作業に時間がかかる
・記入ミスや打刻漏れが発生しやすい
・不正打刻や改ざんのリスク
・保管スペースや管理コスト

これらは、経営者や事務担当者の貴重な時間を奪い、ミスやトラブルの原因にもなります。特に、働き方改革や労働基準法の改正により、正確な勤怠管理が求められる今、アナログな運用は大きなリスクとなりかねません。

デジタル勤怠管理のメリット

「デジタル化は難しそう」と思われがちですが、一度導入すれば毎日の面倒な作業から解放される便利な仕組みです。紙のタイムカードで発生していた手間やトラブルが一気に解決し、経営者の負担が大幅に軽減されます。

・集計作業の自動化で業務効率アップ
デジタル勤怠管理システムを導入すれば、出退勤データが自動で集計され、給与計算もスムーズに。手作業によるミスや集計漏れが激減します。

・リアルタイムで状況把握
従業員の出勤状況や残業時間をリアルタイムで確認できるため、労務管理が格段にしやすくなります。働きすぎやサービス残業の抑止にもつながります。

・不正打刻の防止
ICカードやスマートフォン、顔認証などの多様な打刻方法により、不正打刻やなりすましを防止できます。

・ペーパーレスでコスト削減
紙のタイムカードや出勤簿が不要になり、保管スペースや印刷コストも削減できます。

・法令対応も安心
労働基準法に基づいた勤怠データの保存や、36協定の管理もシステムで自動化できるため、法令違反のリスクを減らせます。

このように、毎月の給与計算が楽になり、従業員とのトラブルも減り、事務作業にかかる時間も大幅に短縮できます。浮いた時間は営業や経営判断など、売上に直結する重要な業務に使えるようになるため、結果的に会社の成長につながる取り組みと言えるでしょう。

カチョー

毎月のことなので、積み重ねると効果はかなり大きいですね。

ハカセ

デジタル化するメリットだけでなく、アナログ作業のままでいることのリスクも見逃せないのじゃ。

デジタル勤怠管理の具体例

ICカード打刻システム

社員証や交通系ICカードを専用の打刻端末にかざすだけで、出退勤の記録が自動的に行われます。従来の紙のタイムカードのように手書きや押印の手間がなく、誰でも簡単に操作できるのが特徴です。打刻データはリアルタイムでシステムに反映されるため、集計作業も不要になります。また、ICカードは個人ごとに割り当てられているため、他人によるなりすましや不正打刻のリスクも大幅に減らせます。さらに、ICカードは入退室管理や社員証としても活用できるため、セキュリティ強化にもつながります。

スマートフォンアプリによる打刻

スマートフォンに専用の勤怠管理アプリをインストールし、アプリ上で出退勤の打刻ができます。これにより、オフィス以外の現場やテレワーク中、自宅からでも正確な勤怠記録が可能です。GPS機能と連携することで、打刻場所の把握や不正防止にも役立ちます。また、アプリを通じてシフトの確認や申請、上司への連絡なども一元管理できるため、従業員と管理者双方の業務効率が大幅に向上します。スマホ一つで完結するため、導入コストも抑えられ、柔軟な働き方にも対応できます。

顔認証システム

顔認証カメラの前に立つだけで、AIが個人を識別し自動的に出退勤を記録します。カードやスマホを持ち歩く必要がなく、手ぶらで打刻できるため、従業員の負担が最小限です。非接触で衛生的なうえ、顔の特徴で認証するため、なりすましや代理打刻の心配もありません。マスク着用時でも認証できる高精度なシステムも増えており、感染症対策の観点からも注目されています。顔認証データは勤怠管理だけでなく、入退室管理やセキュリティ強化にも応用可能です。

「ITは苦手」「コストが心配」という声もよく聞きますが、最近の勤怠管理システムはITリテラシーが高くなくても直感的に使えるものが増えています。クラウド型なら初期費用も抑えられ、月額数千円から始められるサービスも多いです。

現場の業務効率化や法令遵守、従業員の利便性向上にも大きく貢献しますので、自社に合った方法を見極めて、ぜひ積極的に導入を検討してみてください。企業の規模や働き方に合わせて、最適なシステムを柔軟に選択・導入しましょう!

実際に導入したの現場の声

ある製造業の中小企業では、従来の紙のタイムカード運用からクラウド型の勤怠管理システムへと切り替えを行いました。その結果、これまで毎月半日かかっていた勤怠データの集計作業が、わずか30分程度で完了するようになり、事務担当者の負担が大幅に軽減されました。従業員からも「打刻忘れのアラート機能があるので、うっかりミスが減って安心できる」「スマートフォンから簡単に出退勤の打刻ができるので、外出先や現場でも手間なく記録できてとても楽になった」といった声が寄せられています。

また、シフトの確認や申請もアプリ上で完結できるため、従業員同士や上司とのやりとりもスムーズになりました。経営者からは「これまで感じていた労務管理に関する不安や手間が大きく減り、より本業に集中できるようになった」「法令対応や記録の保存も自動化されて安心感が増した」といった評価があり、会社全体でデジタル化のメリットが実感できています。

まずは「できること」から始めてみましょう

新しい仕組みの導入は、「難しそう」「手間がかかりそう」と感じることも多いものです。ですが、すべてを一度に変えようとせず、まずは身近で気軽に取り組めることから始めてみるのがおすすめです。従業員と一緒に「どこからなら始めやすいか」「どんな工夫ができるか」を話し合いながら、少しずつ進めていくことで、現場にも自然と浸透しやすくなります。

紙のタイムカードをやめて勤怠管理を自動化することは、単なる業務効率化にとどまらず、経営者や従業員の負担軽減、働き方改革や法令対応にもつながる「スマート経営」への第一歩です。まずは小さな一歩から、ぜひデジタル勤怠管理の導入を検討してみましょう!

シャチョー

できることから少しずつ。なんだかウチの会社でもできそうな気がしてきたな。

ヒロシ

はい、毎日のことなので、便利になるのはありがたいッス!

シャチョー

そのためには導入費用を稼がないとな。ヒロシ、来月から営業ノルマ2倍で頼むぞ!

ヒロシ

に、2倍…それはカンベンしてください~

玉川 信のアバター 玉川 信 中小企業診断士

株式会社TUK 代表取締役 / 中小企業診断士
DTP印刷会社、物流系システム会社にて一貫して提案型営業のキャリアを積む。 独立後はコインパーキング運営会社の経営と中小企業支援を両立。中小企業支援では特に「難しいことを言わない、お金をかけない」IT導入による業務効率化に取り組んでいる。自身が中小企業を経営している経験から、経営者の立場に寄り添った支援がモットー。

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