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社員がやめない会社は強い!退職者を減らして人件費を抑えよう

ヒロシ

シャチョー!やっぱ人材不足って、求人出してガンガン採用するしかないっスよね?

カチョー

いやヒロシ、それより“辞めさせない”方が大事なんだ。採用も教育もコストがかかるからな。

シャチョー

そうだ。だから“社員が辞めない会社”こそ、人件費を抑える最強の方法なんだ。

人材不足や人件費の高騰は、多くの企業にとって避けて通れない課題です。求人を出しても応募が集まらない、採用してもすぐに辞めてしまう――。こうした悩みは今や珍しくありません。採用活動に力を入れることも大切ですが、それ以上に重要なのは「いまいる社員に長く働いてもらうこと」。それが結果的にコストを抑え、組織を強くする最短ルートになります。

目次

なぜ「社員が辞めない会社」が強いのか?

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」を基に作成
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00007.html

厚生労働省の調査によれば、新規大卒社員の約3割が3年以内に離職しているといいます。つまり10人採用しても、3人は数年以内に辞めてしまう計算です。これは珍しいことではなく、どの業界にも当てはまる現実です。

企業にとって社員が辞めることは、大きな痛手です。採用に投じた費用や、育成にかけた時間が一気に無駄になるだけでなく、残されたメンバーの負担も増えます。顧客対応の継続性が途切れてしまうこともあり、会社全体の力が確実に弱まってしまいます。

一方で、社員が辞めずに働き続ける会社は、採用や研修に余計なリソースを割く必要がなくなり、経験を積んだ人材が増えることで業務効率も上がります。人材の定着はそのまま組織の安定につながり、結果的に「強い会社」へと成長していきます。

離職がもたらす“見えないコスト”

離職によるダメージは、単純な採用費や研修費だけでなく、目に見えにくい形で、さまざまな損失を企業にもたらします。

1. 採用・教育にかかる負担

社員が辞めると、まず新たに採用活動を行わなければなりません。求人広告や人材紹介料といった直接的な費用に加え、面接や選考に関わる担当者の時間も必要です。さらに採用後は研修やOJTを通じて育成するため、先輩社員の工数が取られ、本来の業務に遅れが出ることも少なくありません。

2. 生産性の低下

新しく入った社員が即戦力になることはほとんどなく、戦力化までには時間がかかります。その間は業務の効率が落ち、プロジェクトの進行にも影響が出やすくなります。特に専門性の高い業務では、一人の欠員が大きな遅延につながることもあります。

3. ノウハウや人脈の流出

長く働いてきた社員が辞めると、これまで培われた知識やスキル、社内外の人脈が一度に失われます。業務マニュアルだけでは補えない“暗黙知”が消えてしまうことは、企業にとって大きな損失です。

4. チーム全体の士気への影響

離職は残された社員の心理にも影響します。「なぜ辞めてしまったのか」という不安や、「自分も次に辞めさせられるかもしれない」という動揺が広がれば、職場の雰囲気は一気に悪化します。結果として、さらなる離職を招く悪循環に陥る危険もあります。

定着率が高い会社に起こる良いこと

1. 採用コストを抑えられる

社員が辞めにくい会社では、常に求人を出し続ける必要がなくなります。採用広告や人材紹介料にかける費用が減り、その分を既存社員の育成や業務改善に回せます。短期的なコスト削減にとどまらず、長期的に組織力を強める投資にコストをかけることができるのが大きなメリットです。

2. 経験とスキルの蓄積

人材の入れ替わりが少ないと、社内に経験が蓄積されていきます。業務の効率は自然と上がり、ミスや手戻りも減ります。新人を育てる際にも、ベテラン社員の知識が活かされるため、組織全体の学習スピードも速まります。

3. 顧客との信頼関係が深まる

担当者が頻繁に入れ替わる会社では、顧客の不安も大きくなります。定着率の高い会社は同じ担当者が長く関わり続けられるため、信頼関係が深まりやすく、顧客満足度の向上につながります。結果的に取引が安定し、リピートや紹介の機会も増えていきます。

4. 職場の安心感と安定した雰囲気

辞める人が少ない職場には「ここで働き続けられる」という安心感があります。社員同士の関係も安定し、チームの一体感が強まります。安心して働ける雰囲気は、社員のモチベーションを支えるだけでなく、新たな人材の採用活動にも好影響を与えます。

サクラ

どうしたら社員さんって辞めなくなるんですか?

ヒロシ

やっぱ給料アップとかっスよね?

カチョー

それだけじゃダメだ。働きやすさや成長の機会、公正な評価も大事なんだ。

ハカセ

うむ。環境・成長・評価・つながり、この4つが定着率アップのカギじゃな。

サクラ

なるほど…お金だけじゃないんですね!

離職防止のための具体策

社員が辞めない会社をつくるには、いくつかの観点から働きかけることが大切です。ここでは代表的な4つの施策を紹介します。

1. 働きやすい環境整備

まず欠かせないのが、働きやすい職場環境の整備です。業務フローを効率化して無駄をなくしたり、残業を減らしてワークライフバランスを整えたりすることは、社員の満足度に直結します。さらに、在宅勤務やフレックスタイム制度といった柔軟な働き方を導入すれば、ライフスタイルに合わせた働き方が可能になり、長期的な定着につながります。

2. キャリア支援・成長機会

「この会社で成長できる」と社員が実感できるかどうかは、定着率に大きな影響を与えます。資格取得や外部研修の費用補助を行ったり、キャリアパスを明確に示したりすることで、社員が将来像を描きやすくなり、安心して働き続けられるようになります。

3. 公正な評価と報酬

努力や成果が正当に評価されない職場では、いくら環境が整っていても離職につながります。公正で透明性のある評価制度を整え、成果をしっかり給与や昇進に反映させることが重要です。また、社員表彰制度などで日々の取り組みを称えることもモチベーション向上につながります。

4. エンゲージメント施策

最後に欠かせないのが、社員の声を吸い上げる仕組みです。定期的な1on1で悩みや要望を聞いたり、アンケートで意見を収集したりすることが効果的です。さらに感謝を日常的に伝え合う文化を根付かせることで、組織全体に一体感が生まれ、働き続けたいと思える職場につながります。

まとめ ― 辞めない会社は最強のコスト削減策

社員が辞めにくい環境を整えることは、無駄な採用コストを減らすだけでなく、現場に経験やノウハウを蓄積し、組織の安定につながります。

逆に言えば、社員が長く働き続ける会社は余計な出費を抑えられるだけでなく、経験やノウハウが積み重なることで組織の力が安定し、業績も持続的に伸ばしていくことができます。人材不足や人件費の高騰に悩む今だからこそ、離職を防ぎ定着率を高める取り組みこそが、最強のコスト削減策になります。

ヒロシ

なるほど〜、“辞めない会社”って最強なんスね!

サクラ

私も、この会社で長く働けるように頑張ります!

カチョー

よし、その意気だ。会社は人がいてこそ成り立つからな。

シャチョー

頼もしいな。みんなが辞めない会社にしていくのが、オレの使命だ!

ハカセ

ふむ、結局は“人を大事にする姿勢”こそが最大のコスト削減なのじゃよ。

高仲 秀寿のアバター 高仲 秀寿 中小企業診断士

TenCy株式会社 代表取締役 / 中小企業診断士
富士フイルム株式会社に約8年勤務し、システム開発・プロジェクトマネジメント等を経験。2016 年に中小企業診断士資格を取得し、独立。2020年現職のTenCy株式会社を設立し、代表に就任。以降、中小企業のホームページ制作やチラシ・グラフィックデザイン制作、システム開発導入支援、kintone運用支援等を実施。中小企業基盤整備機構 中小企業アドバイザー。

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