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知らないとホントに怖い!中小企業のサイバーセキュリティ対策

シャチョー

おいみんな!思いついたぞ!来月から『越境EC』を始めよう!日本の良きものを世界へ!どうだ、ワクワクするだろう!

ヒロシ

いいですね!翻訳もAIに任せれば楽勝っスよ。それにウチみたいな中小企業、海外のハッカーも相手にしないでしょうし、セキュリティなんて適当で大丈夫ですよね?

カチョー

……おいヒロシ、その考えが一番危険だと言っているんだ。攻撃者は『有名かどうか』なんて見ていない。ツールを使って無差別に『鍵が開いている家』を探しているだけなんだぞ。ウチがその『鍵の開いた家』になっていたらどうする?

ヒロシ

えっ……カチョー、意外と詳しいんですね……(汗)

「ウチのような中小企業が、サイバー攻撃の標的になるわけがない」「盗まれて困るような機密情報はない」そう考えている経営者やWeb担当者は少なくありません。しかし、セキュリティの世界において、その認識は非常に危険です。実は、攻撃者が狙うのは「有名なサイト」ではなく、「攻撃しやすい(防御の甘い)サイト」です。攻撃者は自動化ツールを使い、インターネット上のあらゆるサイトを無差別にスキャンし、脆弱性が見つかった順に侵入を試みます。つまり、企業規模の大小よりも、「守りの甘さ(ゆるい防御線)」こそが、あなたのサイトを標的に変えてしまうのです。本記事では、中小企業サイトにありがちなリスクの実態と、今日からできる現実的な対策について解説します。

目次

中小企業サイトに多い“ゆるい防御線”の実態

攻撃者は、高度なハッキング技術を使う以前に、基本的な管理の不備=「隙」を突いてきます。以下のような状態になっていないか、自社サイトを確認してみましょう。

1. パスワード管理の甘さ

もっとも基本的かつ、破られやすいのがパスワードです。

単純な文字列: 「123456」「password」「社名+設立年」など推測容易なもの。

使い回し: 複数のサービスで同じパスワードを使用している。

共有アカウント: 「admin」などのIDを社内全員で使い回している。

幽霊アカウント: 退職した担当者や、契約終了した制作会社のログイン権限が残ったままになっている。

2. CMS・プラグインの更新放置

「サイトを作ってから一度も更新していない」というケースは珍しくありません。WordPressなどのCMSやプラグインは、古いバージョンのまま放置すると「既知の脆弱性」の塊となります。これは「鍵の壊れたドア」を放置しているのと同じです。

3. 管理画面URLが初期設定のまま

特にWordPressにおいて、ログイン画面のURLが /wp-admin/ のままになっていませんか?これでは攻撃者に「ここが入り口です」と教えているようなものです。入り口が特定されれば、あとはパスワードを総当たりで試されるだけになってしまいます。

4. WAF未導入(ノーガード状態)

WAF(Web Application Firewall)を導入していない場合、外部からの悪意ある通信がサーバーに直接届いてしまいます。防御壁がないため、攻撃の成功率が一気に高まります。

5. バックアップが古い・不完全

万が一攻撃を受けた際、最後の頼みの綱となるのがバックアップです。しかし、「設定したつもりで動いていなかった」「データが古すぎて復旧に使えない」というケースが後を絶ちません。

6. SSL(https)が不完全

全ページがSSL化(https)されておらず、httpが混在している状態は、通信の安全性が確保できないだけでなく、Googleからの評価(SEO)も下落します。

サクラ

あ、それなら私、パスワード忘れないように『1111』にしておきました!全員で覚えやすいですよね!

ヒロシ

僕はちゃんとAIに作らせたパスワードにしたっス!まあ、プラグインの更新通知はずっと無視してるけど。更新して画面崩れたら、直すの面倒だし……

カチョー

だ・か・ら!それが『防御線がゆるい』って言ってるんだ!『1111』なんて、誰でも最初に試すし、更新放置は脆弱性の温床だ。お前たち、泥棒に合鍵を配ってる自覚はあるのか!?

ハカセ

カチョーの言う通りじゃな。『面倒くさい』という人間の心の隙こそが、最大のセキュリティホールなんじゃよ。

ゆるい防御線が招く重大リスク

「何かあったら直せばいい」と軽く考えることは危険です。一度侵入を許すと、企業としての信頼を一瞬で失う可能性があります。

1. サイト改ざん・フィッシング化

トップページが全く別の内容に書き換えられたり、サイト内に偽の銀行サイト(フィッシングサイト)へのリンクを埋め込まれたりします。「自社サイトを閲覧した顧客が詐欺被害に遭う」という最悪の事態を招きます。

2. 個人情報の漏洩

お問い合わせフォームや会員データから顧客情報が流出します。特にBtoB企業において、取引先情報の流出は損害賠償や取引停止に直結する重大な信用問題です。

3. スパムメールの踏み台化

サーバーを乗っ取られ、自社のメールサーバーから世界中に大量のスパムメールを配信させられます。その結果、自社ドメインがブラックリスト入りし、通常の業務メールすら相手に届かなくなる事態に陥ります。

4. Googleから“危険サイト”扱い

Googleなどの検索エンジンにマルウェア感染を検知されると、検索結果に「このサイトはコンピュータに損害を与える可能性があります」という警告が表示されます。こうなるとアクセスは激減し、問い合わせや売上はストップします。

今日から強化できる“現実的な”セキュリティ対策

高度なセキュリティサービスを導入しなくても、基本的な対策を徹底するだけでリスクは大幅に低減できます。

1. CMSとプラグインを最新に保つ

これだけで「既知の脆弱性」の多くを防げます。更新ボタンを押す習慣をつけましょう。

2. 管理画面URLの変更

プラグイン等を使い、ログインURLを推測困難なものに変更します。「入り口を隠す」だけで攻撃数は激減します。

3. WAF(Cloudflare等)の導入

サーバーに届く前に、悪意あるアクセスを遮断します。レンタルサーバーに標準装備されている場合も多いので確認しましょう。

4. 自動バックアップの設定

サーバー上のデータとデータベースの両方を、定期的に自動保存する設定を行います。

5. 常時SSL化の徹底

サイト内の全ページをhttps化し、ブラウザの警告表示やSEO低下を防ぎます。

6. パスワード管理ツールの導入

1PasswordやBitwardenなどを活用し、複雑なパスワードを安全に管理・共有します。

7. 権限の棚卸し

退職者や外部パートナーのアクセス権限は、契約終了と同時に即時削除または停止します。

8. 定期点検の仕組み化

月に1回でも「更新状況の確認」「アクセスログのチェック」「不要ユーザーの削除」を行う時間を設けます。

まとめ:防御線を固めることは“企業の信用を守る”こと

中小企業のWebサイトは、その規模に関係なく、常に攻撃のリスクに晒されています。しかし、恐れるばかりである必要はありません。今回ご紹介したような「小さな見直し」を積み重ねることで、防御線は確実に強化できます。「技術的な対策」と「運用ルールの徹底」の両輪を整えること。それこそが、企業の資産であるWebサイトを守り、顧客からの信頼を維持するための第一歩となります。

シャチョー

なるほど…。『攻めの経営』をするためにも、足元の『守り』がおろそかでは話にならんということか。よしカチョー、セキュリティ対策の指揮はお前に任せる!

ヒロシ

じゃあ難しい設定は全部カチョーにお任せしますね!ランチ行ってきまーす!

カチョー

待てヒロシ!お前のその『人任せな意識』を直すところからが対策だ!今日は残ってパスワード管理ツールの導入研修だぞ!

ハカセ

技術も大事だが、結局は使う『人』次第じゃのう。防御線を固めることは、そのまま企業の『信用』を守ること。心してかかるんじゃぞ。

高仲 秀寿のアバター 高仲 秀寿 中小企業診断士

TenCy株式会社 代表取締役 / 中小企業診断士
富士フイルム株式会社に約8年勤務し、システム開発・プロジェクトマネジメント等を経験。2016 年に中小企業診断士資格を取得し、独立。2020年現職のTenCy株式会社を設立し、代表に就任。以降、中小企業のホームページ制作やチラシ・グラフィックデザイン制作、システム開発導入支援、kintone運用支援等を実施。中小企業基盤整備機構 中小企業アドバイザー。

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