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そろそろ我が社も電子契約!電子署名で印紙・製本・郵送から解放

ヒロシ

カチョー、また契約書の印紙が足りなくなっちゃいました…。しかも、この分厚い契約書を製本して、収入印紙を買いに行って、貼って、郵送して…って、これだけで一日が終わっちゃいますよ。

カチョー

私もさっき、昔の契約書を探すのに倉庫まで行ってきて、埃まみれだよ。大事な契約とはいえ、確かに手間がかかりすぎているな。

サクラ

それなら「電子契約」にしませんか? 私の友達の会社では、スマホひとつで契約が終わるらしくて、うちもそうなると便利だなって思ってたんです!

カチョー

電子契約か…。最近よく聞くし、政府も推進しているのは知っているんだが、本当にハンコなしで法的に大丈夫なのか? 導入するのも難しそうだしな…。

ハカセ

心配はいらんぞ。電子契約は、今の時代に合った「攻め」の経営手段じゃ。仕組みを知れば、決して難しいことではないぞ。

ヒロシ

ハカセ! ぜひ教えてください。僕、もう印紙をペタペタ貼りたくないっス!

「前回の契約書が見つからない」「毎月の収入印紙代や郵送費がバカにならない」……。そんな悩みを抱えている経営者の方は多いのではないでしょうか。

近年、多くの企業で導入が進んでいるのが「電子契約」です。JIPDEC/ITRが公表している「企業IT利活用動向調査2024」では、すでに約8割近い企業が何らかの形で利用しているというデータもあり、中小企業にとっても避けて通れないテーマとなっています。本記事では、電子契約の基本から、メリット・デメリット、失敗しないための導入ステップを詳しく解説します。

目次

そもそも電子契約とは?

電子契約とは、紙の契約書の代わりに、PDFなどの「電子データを使ってオンライン上で契約を結ぶ方法」のことです。「ハンコがないと不安」という声もありますが、電子契約では「電子署名(誰が書いたか)」と「タイムスタンプ(いつ作成され、その後改ざんされていないか)」という技術を組み合わせることで、紙の契約書と同等の法的効力を持たせています。

これまでの紙による契約と、電子契約では具体的に何が異なるのでしょうか。署名方法や印紙の有無、保管の仕方など、実務に直結する主な違いを比較表にまとめました。導入の参考にしてください。

中小企業こそ導入すべき!電子申請3つの大きなメリット

リソースが限られている中小企業だからこそ、電子契約がもたらす効果は絶大です。

1. 印紙代や郵送費を大幅に削減できる

電子契約の導入で最も分かりやすいメリットは、目に見える経費の削減です。紙の「課税文書」に対して課される収入印紙代が、電子データでの契約では原則不要になります。印紙代は1通あたり200円から、高額な取引では数万円にのぼることもあるため、この削減効果は絶大です。さらに、封筒代、切手代、レターパックなどの郵送費だけでなく、印刷用のトナー代や紙代もすべてゼロになります。これらに加え、紙の書類を保管するためのキャビネットや倉庫代といった物理的な管理スペースのコストや、製本・送付作業にかかる人件費も大幅に削減できるため、年間で数十万円単位の利益改善に繋がるケースも珍しくありません。

2. 契約締結までのスピードが劇的に上がる

従来の紙ベースの契約では、印刷・製本に始まり、郵送、相手方の受領・押印、返送、そして最終的な内容確認という煩雑なプロセスを経て、締結までに最短でも数日から1週間程度を要していました。一方、電子契約ならオンライン上で全ての工程が完結するため、最短数分での締結も可能になります。場所を選ばずに承認や署名ができるため、テレワーク中や外出先からでも即座に取引を進めることができ、遠隔地や海外の企業とのやり取りもスムーズです。また、システム上で「今、誰の手元で承認が止まっているか」という進捗状況をリアルタイムで可視化できるため、承認漏れを防ぎ、ビジネスチャンスを逃さない迅速な意思決定が可能になります。

3. 検索がラクになり、紛失リスクもゼロへ

契約書はクラウド上で一元管理されるため、取引先名、契約日、キーワードなどで必要な書類を即座に検索できるようになります。これにより、分厚いファイルの中から目当ての1枚を探したり、埃をかぶった倉庫まで足を運んだりする無駄な時間が一切なくなります。物理的な紙が存在しないため、火災や水害などの災害による焼失、経年劣化による文字の掠れといったリスクも完全に回避できます。さらに、電子署名やタイムスタンプ技術によって「誰が・いつ契約し、その後改ざんされていないか」が確実に証明されるほか、アクセス権限の設定や自動バックアップ機能により、紙の管理よりもはるかに高度なセキュリティとコンプライアンスを実現できます。

導入前に知っておきたいデメリットと注意点

便利な電子契約ですが、導入にあたっては中小企業が直面しやすい壁もいくつか存在します。あらかじめこれらのデメリットを把握し、対策を練っておくことが成功の鍵となります。

1. 相手方(取引先)の同意と「併用」の負担

電子契約は自社だけで完結するものではなく、相手方にもシステム上で同意してもらう必要があります。特に長年の慣習を重んじる取引先の中には、電子契約に対して「法的に不安だ」「紙の方が安心できる」と抵抗感を示すケースも少なくありません。その結果、電子契約に対応してくれる会社と、どうしても紙を希望する会社が混在することになり、「デジタルと紙」の両方のフローを並行して管理する手間が一時的に増えてしまう可能性があります。

2. 法律上、電子化できない契約の存在

法改正により多くの契約が電子化可能になりましたが、現在でも「公正証書」の作成が義務付けられている契約などは電子化できません。具体例としては、事業用定期借地契約や、一部の任意後見契約書などが挙げられます。自社で扱う契約書の中に、これら「書面交付が必須」なものが含まれていないか、導入前に一通り確認しておく必要があります。

3.システム導入費用と社内教育のコスト

サービスの利用には月額費用や、契約1件ごとの従量課金が発生します。これらは印紙代の削減分で相殺できることが多いものの、中小企業にとっては初期の費用対効果の検討が欠かせません。また、費用面だけでなく、これまで「紙とハンコ」で慣れ親しんできた社員に対し、新しいシステムの操作方法を教えたり、社内規定を書き換えたりといった教育・運用のコストも発生します。

4.セキュリティへの対策と理解

オンラインで完結するため、万が一の不正アクセスやなりすまし、情報漏洩といったサイバーリスクはゼロではありません。そのため、二段階認証やアクセス制限など、高度なセキュリティ機能を備えた信頼できるサービスを選定することが非常に重要です。

ヒロシ

うーん、まだまだ「紙がいい」って言いそうな取引先もけっこうありそうっスね~

サクラ

先輩、考えようによってはチャンスですよ! 取引先に対しても、「印紙代や郵送の手間がなくなりますよ」と提案すれば、導入を検討してくれる会社も多いはずです。

カチョー

その通りだ。最初は併用で苦労するかもしれないが、一度電子化してしまえば、お互いにムダな時間とコストが相当削減できるぞ。

ヒロシ

確かに、僕が印紙を買いに走る時間も、営業活動に回せますもんね。メリットの方が断然大きい気がしてきました!

失敗しないための「超初歩的」導入ステップ

まずは、無理のない範囲から段階的に進めていくことが成功の鍵です。

ステップ1:自社の現状把握と対象書類の洗い出し

まずは、社内でどのような契約が、月に何件くらい行われているかをリストアップしましょう。その際、稟議書などの「社内文書」と、取引先との「社外文書」に分けて考えるとスムーズです。最初は、関係者が少なく調整しやすい社内文書や、やり取りの回数が多い見積書・請求書など、ハードルの低いものから手をつけることをおすすめします。いきなり全てを変えようとせず、どのプロセスの手間が一番大きいかを可視化することが大切です。

ステップ2:自社に合ったシステムの選定

市場には多くのサービスがありますが、ITに詳しくない方でも直感的に操作できるものを選びましょう。選定の際は、「電子署名法」や「電子帳簿保存法」の要件を満たしているかを確認することが不可欠です。特に、2024年からの完全義務化に対応した「検索機能」などが備わっているかは重要です。多くのサービスで無料トライアルや送信件数の少ない無料プランが用意されているので、まずは実際に操作してみて、社内の運用に耐えうるか試してみるのがいいでしょう。

ステップ3:社内ルール整備と取引先への周知

システムが決まったら、新しい業務フローに合わせて社内規定を更新します。例えば、「電子署名も正式な契約として認める」といった規定の変更が必要になる場合があります。また、取引先には「コスト削減と迅速な対応のため、電子化を進めています」と、相手にとってもメリット(印紙代が不要になる等)があることを丁寧に説明しましょう。いきなり強制するのではなく、相手の意向を確認しながら柔軟に移行を進めるのがトラブルを防ぐコツです。

【まとめ】少しずつでもいい!事務処理を効率化して本業に集中しよう

電子契約の導入は、単なる「ペーパーレス化」ではありません。それは、紙とハンコという物理的な制約から解放され、ビジネスの意思決定スピードを劇的に加速させるための「経営改革」なのです。かつて固定電話が携帯電話に変わったときのように、一度使い始めればその便利さに驚くはずです。

政府も「押印がなくても契約の効力に影響はない」という公式見解を出しており、法的な土壌は整っています。リソースの限られた中小企業こそ、デジタル技術を味方につけて無駄を削ぎ落とし、本来の業務に集中できる環境を整えていきましょう。まずは、社内向けの書類や、親しい取引先との簡単な合意書から始めてみませんか? その小さな一歩が、貴社を次世代の「スマート経営」へと導く大きな原動力となるはずです。

シャチョー

よーし、素晴らしい! 紙とハンコはもう卒業、我が社も今日から電子契約企業だ!

サクラ

ついでに、シャチョーがいつも出すクシャクシャの「経費精算の領収書」も、電子化してもらっていいですか?

シャチョー

うーん、そう来たか…。よし、これからは、私の経費は全部カチョーに立て替えてもらうことにしよう!電子申請よろしく頼むぞ!

カチョー

全額立て替え?私のお小遣いでは無理ですよ…

玉川 信のアバター 玉川 信 中小企業診断士

株式会社TUK 代表取締役 / 中小企業診断士
DTP印刷会社、物流系システム会社にて一貫して提案型営業のキャリアを積む。 独立後はコインパーキング運営会社の経営と中小企業支援を両立。中小企業支援では特に「難しいことを言わない、お金をかけない」IT導入による業務効率化に取り組んでいる。自身が中小企業を経営している経験から、経営者の立場に寄り添った支援がモットー。

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