中小企業こそ知っておきたいDXの基本と進め方の3ステップ!

ヒロシ

カチョー、最近『DX、DX』ってよく聞くんですけど、うちには関係ないッスよね?なんかITツール入れるとか、もっと効率化するって話ッスか?

カチョー

うーん、なんか難しそうだもんな。うちみたいな中小企業には、まだ早いんじゃないか?

ヒロシ

そうですよね、うちはまだ小さい会社ですし、ExcelとかWord、PowerPointを使えていれば十分ッスよね。

ハカセ

ふぉっふぉっふぉ。ヒロシよ、カチョーよ、それは大きな勘違いじゃぞい。DXは単なる業務のIT化ではない。これからの時代を生き抜くために、中小企業こそ知るべき『会社を強くするワザ』なのじゃ!

DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)という言葉、コロナ禍の頃からよく耳にするようになりました 。でも、「ITツールの導入と何が違うの?」「うちみたいな中小企業には関係ない」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実は、DXの本質は、単なるITを使った業務効率化のことではないんです。

この記事では、中小企業がDXをどう捉え、どのように取り組んでいけば良いのか、分かりやすく解説します。

目次

DXって何のこと?IT活用との決定的な違いを説明します

「DX」は、2004年にスウェーデンの教授が提唱した、ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる、という定義が始まりとされています。その後、経済産業省が引用した定義では、さらに具体的に、「IT活用」が既存業務の効率化やコスト削減を目指すのに対し、DXは、デジタル技術を使って、ビジネスモデルそのものを根本から変革し、お客様にこれまでにない新たな価値を提供することを指す、とされました。

DXの定義には、「外部エコシステム(顧客、市場)」や「内部エコシステム(組織、文化、従業員)」という言葉も登場します。簡単に言えば、会社を取り巻く外部環境や、社内の働き方そのものを、デジタル技術によって変革していくことを指します。

この変革を通じて、ネットとリアルの両面で新しい製品やサービス、ビジネスモデルを創り出し、お客様が「すごい!」「こんな体験は初めてだ!」と感じるような価値を提供していくことがDXの取り組みになります。

中小企業にDXがもたらす影響と、DXを進めるための3ステップ

世の中のDXが進むことで、中小企業にはどんな影響があるのでしょうか?

もし自社の業務のデジタル化が遅れていると、新しいデジタル基盤が登場した時に、従来のビジネスが破壊的な変革に見舞われるリスクを抱えます。例えば、昨今のAIの進展で、デザイナーや動画制作者、カメラマン、ライターなどのクリエイターの仕事量が大きく削減された事例は記憶に新しいのではないでしょうか。

「うちには資金も規模もないからDXなんて無理…」そう感じるかもしれません。

でも、大丈夫です!規模も資金余力も大きくない中小企業がDXに乗り遅れないために、次のDXの3ステップを理解して準備を進めていきましょう。

①デジタイゼーション(アナログからデジタル化)を進める

最初のステップは、紙や手作業で行っていた業務をデジタルデータに置き換える段階です。

  • 紙の書類をPDFやExcelにする
  • 手書きの申請書をオンラインフォームにする
  • レジや伝票をPOSデータとして管理する

ゴールは、アナログ情報をデジタル化すること。効率化やデータ蓄積の土台作りが目的です。

シャチョー

まずは紙のタイムカードをやめることからかな…?

②デジタライゼーション(業務プロセスのデジタル活用)

次に、デジタル化されたデータを活用して業務フローを改善する段階です。

  • 顧客管理(CRM)の導入で営業活動を見える化
  • 会計システムで経理業務を自動化
  • クラウドストレージで社内外から安全にアクセス

ゴールは、業務効率化やコスト削減。この段階で生産性向上やペーパーレス化が大きく進みます。

ヒロシ

ExcelとかWordだけじゃなくて、システムを導入していくことが大事なんスね!

③ デジタルトランスフォーメーション(ビジネスモデルの変革)

最終ステップでは、デジタルを前提にした 新しい価値やビジネスモデル を生み出します。

  • 顧客データを活用してパーソナライズサービスを提供
  • IoTやAIを使った新しい商品・サービス開発
  • ECやサブスクリプションなど従来とは違う収益モデルを構築

ゴールは、競争優位性の確立と持続的な成長。単なる効率化にとどまらず、ビジネスそのものを進化させます。昨今では、AIを使うことで比較的容易にデジタルトランスフォーメーションの足掛かりとすることができる世の中になりました。

ハカセ

AIをうまく使うことが、DXの秘訣じゃな!

まとめ:DXは未来を切り拓くカギ

デジタル技術は目まぐるしく進化し、新たな製品やサービスが日々生まれています。中小企業は「受け身」になりがちですが、まずは、変革に対応できる準備としてデジタイゼーション:アナログ業務のデジタル化と、デジタライゼーション:ITシステム活用を進めておきましょう。そして、自社を取り巻く環境の、DXによる変化の兆候をいち早く察知し、ライバルより一歩早く行動する。それが、中小企業がDXの波に飲み込まれないためのポイントになります。

シャチョー

よし!わが社もDXの準備を進めるため、まずは紙の台帳をExcelで管理していこう!

ハカセ

ふぉっふぉっふぉ。その意気じゃ。デジタルの知識も必要じゃが、大切なのは経営者の覚悟じゃよ。

高仲 秀寿のアバター 高仲 秀寿 中小企業診断士

TenCy株式会社 代表取締役 / 中小企業診断士
富士フイルム株式会社に約8年勤務し、システム開発・プロジェクトマネジメント等を経験。2016 年に中小企業診断士資格を取得し、独立。2020年現職のTenCy株式会社を設立し、代表に就任。以降、中小企業のホームページ制作やチラシ・グラフィックデザイン制作、システム開発導入支援、kintone運用支援等を実施。中小企業基盤整備機構 中小企業アドバイザー。

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