採用が得意な会社の裏側!Web活用とブランディングの極意

カチョー

社長から『もっと優秀な人材を採ってこい』って無茶ぶりされたんだが…正直、求人広告だけじゃ限界を感じてるんだよな。

ヒロシ

確かに…。自分の友だちも転職のときは、求人媒体より先に企業サイトとかSNSを調べてましたよ。会社の“雰囲気”で応募するか決めるって言ってました。

サクラ

え、じゃあ採用サイトやSNSって、求人広告よりも大事ってことですか?でも今のうちのサイトって、正直あんまり魅力伝わってない気がします…。

カチョー

そうなんだよ…。今どきは“採用ブランディング”ってのがカギらしい。Webでどう魅せるかが、人材確保の成否を分けるってことだな。

ヒロシ

じゃあカチョー、これはもう…“Web活用で採用力を強化する戦略”を考えなきゃっスね!

採用活動は、もはや求人票を出すだけの時代ではありません。WebやSNSを通じて自社の価値観や文化を発信する企業ほど、優秀な人材から選ばれています。この記事では「採用に強い会社」が実践するWeb活用術を、経営視点からわかりやすく解説します。

目次

なぜ今、Web活用が採用力を高めるのか

経営者にとって「人材確保」は最重要課題です。しかし、求人広告や媒体任せの採用には限界があり、自社での情報発信力が問われる時代になっています。

出典:HRzine

HRzineの調査によると、新卒学生の約9割が「採用サイトがない、あるいは情報やデザインが古い」と感じた場合に志望度が下がると回答しています。これは、企業がどのように自社を伝えるかが採用力に直結することを示しています。

一方で、十分な情報が提供されていない採用サイトも少なくなく、「仕事内容が分かりにくい」「福利厚生が不透明」「社内の雰囲気が伝わらない」といった理由で志望度が下がるケースも報告されています。

つまり、採用サイトを形だけ整えるのではなく、自社の魅力を効果的に伝え、求職者の共感を呼び起こすWeb活用こそが、採用力を高めるカギといえるでしょう。


採用サイトの質が、人材獲得の第一関門になっている。

採用に強い会社が実践するWeb活用術

1. 採用サイトで「働くイメージ」を可視化

社員インタビューや職場の写真・動画を掲載することで、求職者は「自分が働く姿」を具体的にイメージできます。単なる求人情報ではなく、カルチャーや価値観まで伝えることがポイントです。

2. オウンドメディア・ブログで価値観を発信

記事やコラムを通して企業の専門性やカルチャーを発信することで、求職者の共感を醸成します。SEO的にも効果があり、潜在的な候補者の流入チャネルとしても有効です。

3. SNS活用による継続的な発信

LinkedInやInstagramでの情報発信は、会社の「日常」を伝える場として機能します。採用ページだけでは伝えきれない“リアルな雰囲気”をSNSで補うことができます。

4. モバイル対応で応募プロセスを簡略化

スマホでスムーズに応募できる環境を整えることは必須です。応募途中での離脱を防ぎ、応募数の最大化につながります。

5. データ分析と改善

Googleアナリティクスやヒートマップを使い、どのページが見られているか・どの段階で離脱しているかを把握し、継続的に改善していくことが成果を分けます。

さらに、中小企業においてはダイレクトリクルーティングの活用も有効。成果報酬型などリスクを抑えて始めやすいサービスもあり、採用チャネルの多様化を促進します。

シャチョー

みんな!うちももっと発信していこうよ!海外の人材だって狙えるんじゃないか? 越境採用、面白そうじゃん!

カチョー

シャチョー、また新しいミッションを…。でも確かに、採用サイトを整えてSNSと連動させれば、国内外から注目される可能性はありますね。

ヒロシ

よし、じゃあ動画コンテンツも作っちゃいますか!サクラ、出ます?

サクラ

えぇー!? 私ですか!?

成功事例から学ぶ採用ブランディング

採用ブランディングは机上の理論だけでなく、実際の取り組みからこそ学べることが多いものです。ここでは、大手企業と中小企業それぞれがどのようにWebを活用して成果を上げているのかを見ていきましょう。

大手企業の事例

ユニクロ

ユニクロは採用活動において早くから自社サイトやSNSを連動させ、世界に向けて一貫したブランドストーリーを発信してきました。単なる募集要項ではなく、社員一人ひとりのキャリアや価値観を映像や記事で紹介することで、求職者が「ここで働けばこう成長できる」という未来像を描けるようにしたのです。その結果、国内外から多様な人材が集まり、「グローバルに挑戦できる企業」という認知が定着しました。

Google Japan

Google Japanもまた、データドリブンな採用で知られています。採用サイトの閲覧データを分析し、候補者がどの情報に関心を持っているのかを把握。そこからサイト構成を改善し、求職者が知りたい情報にスムーズにアクセスできるよう設計しました。こうした体験価値の向上が、優秀人材からの応募増加につながっています。

サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、社員自身がブログやSNSで発信する文化を根付かせています。会社が一方的に発信するのではなく、社員が日常の仕事やカルチャーを“等身大”で伝える。これにより「この会社の文化に共感できるから応募した」という志望動機が増え、単なる条件マッチング以上の採用成果を実現しています。

中小企業の事例

ITベンチャー の挑戦

あるITベンチャーは、エンジニア社員が自らYouTubeで仕事の様子を発信しました。開発現場のリアルな声や働く姿を見せることで、応募者数は爆発的に増えたわけではありませんが、「ここで働きたい」と心から思う共感度の高い人材が集まり、結果として定着率が大きく改善しました。

地域製造業 の工夫

地域に根差した製造業の会社では、「この町で働く誇り」をテーマに、社員インタビューを採用サイトに掲載。製品そのものよりも、働く人や地域とのつながりを前面に出したのです。すると「地元に貢献しながら働きたい」という人材が自然と集まり、地域外からの応募も少しずつ増えるようになりました。

飲食チェーン のSNS活用

若年層の採用難に悩んでいた飲食チェーンでは、TikTokを活用。若手社員の日常や仲間との雰囲気を短い動画で見せたところ、アルバイト応募数が前年よりも大きく増加しました。「楽しそうに働ける職場」というイメージが、求人広告よりも強く伝わった結果です。

こうして大手から中小まで事例を見比べると、規模や業種に関わらず「いかに自社のリアルな姿を伝え、求職者に未来像を描かせるか」が成否を分けていることが分かります。採用ブランディングの本質は、条件面の競争ではなく、文化や価値観をどう魅力的に発信できるかにあるのです。

成功している企業に共通するのは、“リアルな発信”と“一貫性”だ。

採用力強化のためのチェックリスト

採用ブランディングの考え方は理解できても、実際に何から手をつければよいのか悩む経営者も多いはずです。そこで、企業がすぐに取り組めるチェックポイントを整理しました。これらを定期的に見直すことで、自社の採用力を着実に底上げできます。

1. 現状の採用課題を数値で把握する

「応募数が少ない」「定着率が低い」などの感覚的な課題だけでは、打ち手を誤りやすくなります。まずは応募数・内定承諾率・入社後定着率などを数値で見える化し、どの段階にボトルネックがあるのかを明確にしましょう。

2. 採用サイトを見直す

採用サイトは「応募前の必須チェックポイント」です。仕事内容や福利厚生を簡潔にまとめるだけでなく、社員の声やキャリアステップ、職場の写真・動画を盛り込むことで、応募者が働く姿をイメージしやすくなります。古いデザインや更新の止まった情報は逆効果になるため、定期的な改善が必要です。

3. SNSを一貫したトーンで運用する

SNSは単なる情報拡散の場ではなく、企業文化を日常的に伝える場として機能します。重要なのは「一貫性」です。求人票・採用サイト・SNSのメッセージがバラバラだと、かえって信頼感を損ねます。トーンや発信テーマを統一し、継続的に更新することが大切です。

4. モバイル応募のUXを強化する

応募者の多くはスマートフォンからエントリーします。入力項目が多すぎたり、PC専用画面が表示されたりすると離脱率が急上昇します。「3分で応募できる」設計を目安に、UXを見直しましょう。LINEやSNSログインを活用した簡易エントリーも有効です。

5. アクセス解析と改善を続ける

Web採用は「つくって終わり」ではなく、改善を重ねて初めて成果が出ます。Googleアナリティクスやヒートマップを使い、どのページが読まれているのか、どこで離脱しているのかを把握し、改善を繰り返す仕組みを整えましょう。

6. 候補者との接点を多様化する

求人広告や採用サイトだけに依存せず、オウンドメディア・ウェビナー・社員発信SNSなど複数のチャネルを用意しましょう。候補者が複数のタッチポイントで会社を知ることで、安心感と親近感が高まります。

7. 内定後フォローを仕組み化する

採用は「内定を出して終わり」ではありません。入社までに候補者の不安が募ると、辞退につながります。定期的な連絡・社員との座談会・会社情報の発信などを仕組み化することで、内定承諾率と入社後定着率を高めることができます。

まとめ – Web活用で「選ばれる会社」へ

採用に強い会社は、求人広告に依存せずWebを活用して自社の魅力を戦略的に発信しています。採用ブランディングは、単なる人材確保にとどまらず、企業全体のブランド力向上につながるのです。まずは採用サイトやSNS発信の見直しから、小さく始めてみましょう。

ハカセ

デジタルも必要じゃが、大切なのは“心”じゃよ。社員が誇れる会社をつくれば、自然と人は集まってくる。

シャチョー

なるほど…。ブランディングは採用のためだけじゃなく、社員のモチベーションにもつながるわけか!

カチョー

よし、だんだんできる気がしてきたので、まずは採用サイトをリニューアルして、会社の魅力をしっかり発信するところから始めてみますか!

高仲 秀寿のアバター 高仲 秀寿 中小企業診断士

TenCy株式会社 代表取締役 / 中小企業診断士
富士フイルム株式会社に約8年勤務し、システム開発・プロジェクトマネジメント等を経験。2016 年に中小企業診断士資格を取得し、独立。2020年現職のTenCy株式会社を設立し、代表に就任。以降、中小企業のホームページ制作やチラシ・グラフィックデザイン制作、システム開発導入支援、kintone運用支援等を実施。中小企業基盤整備機構 中小企業アドバイザー。

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