シャチョー最近ニュースで見たんだけど「技能実習制度」がなくなるらしいね?
うちも外国からの技能実習生が働いてくれているけど、これからどうなるんだ?



そうなんです。2027年から「育成就労制度」っていう新しい資格の制度が始まります。今の制度より、外国人が“育ちやすい”内容になってるみたいですね。



育ちやすい?うちは人手が足りないんだから、すぐ戦力になってもらわないと困るぞ。



まさにそこがポイントで…。育成就労制度は「育てて、企業の戦力にする」制度なんです。つまり、ちゃんと育成・支援を行う企業が評価される仕組みになっていくんですよ。



おぉ、そうか…。じゃあ、ちゃんと理解しておかないと、対応できなくなりそうだな。詳しく教えてくれ。
制度変更の背景
なぜ、在留資格の制度が変わるのか?
少子高齢化が進む日本では、あらゆる業界で人手不足が深刻化しています。総務省のデータによると、生産年齢人口(15~64歳)はピーク時の1995年から約1,200万人も減少。特に中小企業では、若手人材の採用が難しく「人が足りない」「育つ前に辞めてしまう」といった悩みが経営課題の上位に挙がっています。
このような中で、製造・介護・建設・農業といった労働集約型の業界では、外国人材の存在が欠かせないものになりました。実際、厚生労働省の統計では、2024年時点で国内の外国人労働者数は約200万人。この10年間で2倍以上に増えています。
外国人受け入れ制度の柱として長く続いてきたのが「技能実習制度」です。1993年に創設された当時は、アジア諸国などの若者に日本の技能や知識を学んでもらい、母国の発展に活かしてもらう――そんな「国際貢献」の理念が背景にありました。
しかし現場では、次第に制度の目的と実態が乖離していきます。
・人手不足を補うために「労働力」として受け入れられているケースが多い
・転籍(職場変更)がほぼ認められず、労働環境が悪化しても働き続けざるを得ない
・中間業者による高額な手数料、長時間労働、低賃金といった問題が社会問題化
こうした課題は国際的にも批判の対象となり「技能実習制度の抜本的な見直し」が長年の懸案でした。そこで政府は、制度改革の検討を本格化。その議論の結果「技能実習制度を廃止し、新たに『育成就労制度』を創設する」という方向性が固まりました。
新制度の最大の目的は、これまでの“実習”という建前をやめ、明確に「人材育成」と「人材確保」を両立させることにあります。つまり「働くために来る外国人」を“教えながら共に働くパートナー”として位置づけ直すという考え方です。
新たな制度「育成就労」の仕組みの概要
それでは、新たな育成就労制度とは具体的にどのような内容なのでしょうか?まず、現行の制度との概要の違いを見てみましょう!
ポイント①:制度の目的が異なる
これまで、外国人材受け入れの際は、まず「技能実習1号~3号」という制度が適用されていました。これは外国人材を実習生として受け入れ、国際貢献を果たすことが大きな目的でした。この制度が廃止となり、各社の人材としての育成・確保を目的とした「育成就労」に変更になります。これまでの技能実習生は各段階においてそれぞれ期間が異なりましたが、「育成就労」に関しては原則3年となっています。また、その後の「特定技能1号」「特定技能2号」の制度については目的・期間ともに変更はありません。


出典:公益財団法人国際人材育成機構のHPを基に著者作成
https://imm.or.jp/cms/jp_news/20240704notice1/
ポイント②:期間中の転籍が可能になる
従来の技能実習では、原則として他社への転籍はできませんでした。この仕組みが技能実習生の労働条件を悪化させていた一因にもなっていました。しかし新制度「育成就労制度」は、一定の条件を満たせば1~2年で転籍が可能になります。外国人にとっては働きやすさが増す一方、企業にとっては「人材が他社に移る」 という新たなリスクとも言えます。「転籍されない職場 = 働きがいのある職場」をつくる努力が、これからの経営者には求められます。
ポイント③:日本語能力要件の厳格化
また、育成就労として受け入れる要件としての日本語能力も異なります。育成就労制度では、受け入れの段階でN5レベルの日本語能力を有していることが条件となります。「N5レベルの日本語能力」というのは、基礎段階の言語使用者という位置づけの資格で、日本語能力試験でもっともやさしいレベルの試験になります。ひらがなやカタカナ、簡単な漢字の読み書きができる試験になります。
単なる短期的な労働力としてではなく、長期的に企業の戦力になる人材を育て、また日本で働こうとする外国人にとっても明確にキャリアパスを描ける制度に変更しようとする意図が感じられます。



なるほど。企業側も考え方を変えて「外国人材に選ばれる職場」になる必要がある、ということだね。



そうですね!逆に言うと、体制を整えれば世界中の優秀な人材に働いてもらえるチャンスになりそうですね!心強い!
制度改正に向けて、準備しておくこと
現時点では、この制度は2027年4月に施行される予定です。まだ先の話だと思われるかもしれませんが、制度対応は準備が早い企業ほど有利であることは間違いありません。ここでは、制度導入後にスムーズに外国人材を採用し、育成させるために企業が進めておくべき3つの準備すべきことについて解説します。
受け入れ体制を整え、「育てられる会社」にアップデートする
育成就労制度の最大の特徴は「企業に育成責任が求められる」点にあります。主体的に育成する姿勢が、会社と社員を成長させ、組織を強固なものにします。
まずは日本語教育の仕組みづくりです。新制度では日本語能力向上が重視されているため、企業側も「教育計画の策定」と「学習機会の提供」が求められます。例として
- eラーニング教材を導入し、週◯時間の学習時間を確保する
- 日本語学校・地域NPOと連携して講師派遣を依頼する
- 社員が教える場合は「教える人の負担」を考慮し、時間を業務時間に含める
など、現場の実情に合わせた工夫が必要になります。特に地方企業では、日本語学校が近くにないケースもあるため、オンライン教材を活用する企業が増えています。
また、生活支援も非常に重要な要素です。外国人材が日本で働く際には、銀行口座、携帯電話、住居、地域ルールなど、生活面でつまずきやすいポイントがたくさんあります。
そのため、新制度では 「生活支援」も企業の義務 と位置付けられています。対応例として
- 生活オリエンテーションの実施
- 自治体の外国人支援窓口につなぐ
- 社内相談窓口を設置し、不安を早期に解消する
などが挙げられます。特に「相談窓口」の設置は転籍の抑制にも非常に効果的です。日常的に話を聞ける環境を作っておくことが定着率に大きく影響します。
採用とキャリアパスを設計する
育成就労制度では、採用時に外国人材へ提示する情報が増えます。つまり、これまで以上に 採用前の計画性が重要 になります。
企業は外国人材ごとに「育成就労計画」を作成します。これは新入社員に対する研修計画のようなものですが、外国人材向けにより細かく策定されます。
- 1年目:基本作業の習得、日本語N4レベル到達
- 2年目:応用作業・品質管理、N3レベル到達
- 3年目:リーダー補佐業務、特定技能試験の準備
育成就労期間(最大3年)の後には特定技能1号 → 2号といった上位資格へ移行できるルートが用意されています。明確な成長ステップを示すことで、外国人材にとって「この会社で働く価値」がわかりやすくなります。企業側にとっても、「育てた人材がそのまま長く働いてくれる」という大きなメリットがあります。
キャリアパスが整っている企業は採用時に応募者から選ばれやすく、結果的に長期雇用を実現することで教育コストの低減にもつながります。
コストを見える化する
育成就労制度では、企業側の教育・支援の負担が増えることが確実です。だからこそ、今のうちに コストとリターンの見通しを立てること が重要です。
外国人材受け入れに必要なコストは次のように整理できます。
- 日本語教育費(教材・研修費など)
- 支援担当者の工数・人件費
- 監理支援機関への委託費
- 住居サポートなどの生活支援費
- 健康診断・安全教育に関する費用
これらは“必要な投資”であり、決して無駄ではありませんが、明確にコストとして数値化しておく必要があります。
外国人材への投資は、次のような形で回収されます。
- 人手不足の解消による生産性アップ
- 長期定着による教育コストの回収
- 特定技能への移行で即戦力化
- 業務品質の安定
- 新しい業務や改善提案が生まれやすい
特に、3年で帰国してしまうことが多い技能実習制度とは違い、育成就労 → 特定技能 とつながることで、企業としても長期雇用を前提に投資回収が可能です。
経営者として「外国人材をどれだけ活用し、どの部署で何人を育てるか」という中期人事計画を立て、単なるコストではなく企業成長への投資になるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。育成就労制度は企業に負担も求めますが、そのぶん大きなチャンスでもあります。重要なのは「制度開始前にどれだけ準備できるか」です。
- 受け入れ体制を整える
- 採用とキャリア設計を明確にする
- コストと収益の見通しを立てる
この3つを早くから進めた企業こそ、2027年以降の“人材獲得競争”を勝ち抜くことができます。自社の経営戦略と照らし合わせ、是非今から準備を進めていきましょう!
最後に、2027年4月改正予定の育成就労制度は現在も内容を整備中で、今後内容が変更になる可能性もあります。詳しくは出入国管理庁のサイトなどを確認するようにしてください。
出入国管理庁サイト
https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html



2027年だと、もうすぐですね!早速今から準備しましょう!



おお!いつになく積極的だな!それでは、いちど計画を立ててみてくれ!



Yes, of course, boss!



いや、言葉だけ国際的になってもダメだぞ…










