シャチョー最近、得意先との会食で「下請法が取適法に変わる」って言われたんだが、これ…何が変わるんだ?



トリテキなら昨日も食べたっす!タレか塩で言ったら、断然タレが好みですね。



そりゃ、ヤキトリでしょ!社長が言っているのは「中小受託取引適正化法」、通称「取適法」よ。従来の「下請代金支払遅延等防止法(通称:下請法)」が2026年1月1日から新しく施行されたの!社長もしっかり把握しておかないとダメじゃないですか!



お、おぉ、悪かった汗…で、まず何から手を付けるのが正解なんだ?



発注側・受注側どちらにも影響があるので、まずは「自社が対象になる取引の洗い出し」をやるべきです。そこから、「契約・支払・価格協議のに関する運用の策定」を考えるべきですね。まずは一度、変更点を整理してみましょう!



なんだ!食べ物の話じゃなかったんスね。ついでに自分も勉強しときたいので、一緒に聞かせてもらうっす!
新制度「取適法」とは?概要を説明
ビジネス上、発注側が立場を利用して、受注側(中小企業など)に不利な条件を押し付けないようにするための法律である「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」が、2026年1月1日より「取適法(中小受託取引適正化法)」に変更になりました。これは、単なる名称変更ではありません。規制内容の追加と、適用対象の拡大が行われるものとなります。
また、関連する用語も、具体的に以下のような形に変わります。


以上の用語の変更を踏まえたうえで、実際の変更内容を見ていきましょう。
ポイント①:価格協議を行わない一方的な決定はNG
取適法では、受注側(中小受託事業者)から価格協議を求められているのに、発注側(委託事業者)が協議に応じず、結果として一方的に代金を決める行為が新たに禁止されます。重要なのは「露骨に断る」ケースだけでなく、協議の申し入れを無視したり、何度も先延ばししたりして協議そのものを困難にする場合も、違反になり得ると整理されている点です。つまり、現場で起きがちな「忙しいから後回し」「担当者が返信しないまま放置」といった対応が、これまで以上にリスクになります。
価格転嫁の局面で、これまで慣行として起きがちだった押しつけの構造を廃止する改正だと言えます。背景として、コスト上昇局面での価格転嫁を阻害する商習慣を一掃し、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁を定着させる狙いが説明されています。
ポイント②:手形払いが禁止に
2026年1月1日以降に発注した取適法の対象取引では、手形による支払いが禁止されます(整理上は「支払遅延」に該当)。さらに、電子記録債権やファクタリング等を使う場合でも、支払期日(最長で受領日から60日以内)までに、受注側が代金満額相当の現金を得ることが困難な仕組みは違反になり得る、とされています。ここは「手形をやめればOK」ではなく、“受注側の資金繰り負担が残る支払手段”を広く潰しにいく改正だと捉えると分かりやすいです。
ポイント③:振込手数料を受注側に負担させて差し引くのはNG
取適法では、受注側との合意の有無にかかわらず、振込手数料を受注側に負担させ、代金から差し引くことは違反(「減額」)になると明確に示されています。これまで「契約書に書いてあるから」「長年の慣行だから」で続いていた運用でも通じません。2026年以降は“当然に発注側負担”へ寄せる必要があります。
一方で、運用上どうしても一時的に受注側で手数料等が発生する形になる場合でも、あらかじめ書面等で合意し、支払期日までに発注側がその負担分を補填し、支払期日に受注側が満額相当の現金を受け取れるなら問題にならない、という整理も示されています。したがって、経理処理としては「差し引かない」が原則で、例外的な場合は“補填まで含めて満額”を担保できる設計にしておくのが安全です。
ポイント④:資本金だけでなく、「従業員基準」が追加に
取適法は、従来の資本金基準に加えて従業員数による基準(300人/100人)が追加され、規制・保護の対象が拡充されます。背景として、資本金が小さくても実質的に規模が大きい事業者が対象外になってしまう例や、適用逃れのために受注側へ増資を求める例があることが説明されています。つまり「資本金だけでは実態を捉えきれない」というこれまでの課題に手を打ったものとなります。取引の内容により基準が変わります。詳細は以下をご確認ください。
ポイント⑤:対象取引に「特定運送委託」が追加(物流が関係)
取適法では対象取引が拡大され、新たに特定運送委託が追加されます。もし、皆さんのビジネスにおいて販売する物品や製造・修理等を請け負った物品などを引き渡すにあたり、その運送を他社に委託する場面があれば、要確認です。実際のリーフレットでも「下請法が取適法に変わり、特定運送委託が新たな対象取引に追加される」と明確に示されています。
物流は、営業・購買・現場・物流部門で分断されやすく、「契約は購買、実運用は現場、請求は経理」という形になりがちです。その結果、荷待ち・荷役の扱い、追加作業の無償要求など、細部の運用が積み上がってトラブル化しやすい領域でもあります。たとえば運送に加えて荷積み・荷下ろし等を無償でさせることが不当な経済上の利益の提供要請に該当し得る、という整理も示されていますので、「運送は外注しているから大丈夫」と決め打ちせず、運送周辺の役務まで含めて点検するのが安全です。



これまでの慣習でなんとなく当たり前としてやってきたことも、改めないといけないな!



そうですね!ひとつひとつ、わが社に該当するものはないか、見ていきましょう!
発注側(委託事業者)がやるべきこと
それでは、ここからは改正を受けて、実際にどう対応すればいいのか、確認していきます。まず、自社で行っている取引が取適法の対象として当てはまるか?を確認することが必要です。発注側(委託事業者)として取適法の対象になる取引は、主に、①モノを作る(製造委託)、②壊れたモノを直す(修理委託)、③ソフトやデザイン等の成果物を作る(情報成果物作成委託)、④顧客に提供するサービス業務を再委託する(役務提供委託)、そして⑤納品のための運送を荷主が委託する(特定運送委託)です。これらが当てはまる場合は、以下を確認していきましょう。
価格協議のルールを社内で決める。
禁止とされているのは「協議しない」ことなので、逆に言うと協議の受付~回答までの業務の流れを社内で確立させることが必要です。以下にルールの一例を紹介します。
- 価格改定要請は、窓口(購買/営業/総務など)一本化させる
- 受領から〇営業日以内に「協議日程提示」まで必ず返す
- 協議では、必要な説明・情報提供を行う(理由を言わない一方的決定を避ける)
- 議事録、メモを残す。後から「協議していない」ことを説明できるようにする
ぜひ、参考にして実行できるものは始めてみましょう!
4つの義務を確認し、遵守する
委託事業者には、以下の4つの義務が課せられています。


4つの義務は、難しい条文を覚えるというよりも、取引を「発注するとき」「取引が終わったあと」「支払うとき」「支払が遅れたとき」の4つの場面で、最低限守るべきルールを整理したものだととらえると理解しやすいです。特に支払遅延については遅延利息が発生します。昔からの慣習でついつい遅れがち・・・という場合はかならず見直しましょう。
受注側(中小受託事業者)が損をしないために
次に、受注側についてみていきます。取適法において受注側は「守られる側」と言えますが、何もしないと状況は変わりません。次の点を意識すれば、効果が見込めます。
価格協議は「口頭」よりも「記録が残る形」で行う
取適法では、受注側が価格協議を求めているのに、発注側が明示的に拒否するだけでなく、協議の求めを無視したり、繰り返し先延ばしにしたりして協議を困難にすること自体が違反になり得る、と整理されています。つまり、受注側としては「値上げを認めてもらえるかどうか」以前に、まず協議の入口を作り、協議が始まったことを“見える形”にするのが現実的な第一歩になります。
口頭でお願いして終わらせず、メールや書面で「協議を求めた事実」を残すことが重要です。ポイントは長文にすることではなく、後から第三者が見ても「いつ・何について・どんな根拠で協議を求めたか」が分かることです。
また、協議の場が持てたら、議事録まで完璧にするのが難しくても日時・参加者・論点・相手の回答だけはメモに残しておくようにしましょう。価格は一度で決まらないことも多いので、「次回いつまでに何を出すか(資料・回答期限)」まで決めて記録しておくと、より良いでしょう。
困ったら相談ルートを知っておく(社内で抱えない)
最後に、いちばん大事なのが「抱えない」ことです。現場では、値上げや支払条件の話はどうしても言いづらく、社内で我慢してしまいがちです。しかし取適法は、そもそも取引上の不利益が生じやすい構造を是正するための制度なので、困ったときに相談できるルートを確保しておくことが、結果的に自社を守ります。公正取引委員会は、取適法に関する相談窓口を案内しており、電話やオンライン相談会の案内もあります。
「いきなり申告(告発)」することが目的ではない、という点は注意しておきましょう。まずは相談で、①それが取適法の対象になり得る取引か、②論点は支払なのか、減額なのか、協議拒否なのか、③社内・取引先とのやりとりで何を残すべきか——を整理するだけでも、次の一手が見えます。特に、取引先との関係を壊したくない場合は、最初から白黒をつけにいくよりも、論点整理→協議→改善の順に進める方が、現場の負担が小さく済むことが多いです。
【まとめ】まずは自社の状況を確認しよう!
いかがでしたでしょうか?今回は概要を案内させていただきましたが、詳細な点などは公正取引委員会のサイトで確認してみてください。これまでなんとなく「大丈夫だろう」「仕方ない」と考えていたことが新制度では対応が必須となっているかもしれません。すでに新制度は開始されています!ぜひ対応を進めていきましょう。



なるほど!だいぶ理解が深まったぞ。うちは発注側といえるから、早速現状の業務を棚卸ししないとな!ヒロシ、頼んだぞ。



任せてください!ただ、口頭ではなく記録で依頼を残してもらってもいいっすか?メールお待ちしてます!



いや、それは取引じゃなく社長指示ですから!










